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秘!ここだけのオオセンチ採集法
採集法の模索

オオセンチコガネという金属光沢があり、まるで宝石のように綺麗な甲虫がいる。  しかも地域によって色彩の変異があり、標本としてもコレクション性が高く好きな人も多い虫で、私もその中の一人である。

そんな綺麗なオオセンチコガネだが、じつは糞虫と呼ばれる食糞性コガネムシで、成虫、幼虫共に野生哺乳類などの糞を常食とする昆虫である。


ノーマルタイプのオオセンチコガネ
京都市左京区産

ミドリセンチといわれる色彩変異型
京都市山科区産

ルリセンチといわれる色彩変異型
奈良県産


オオセンチコガネを狙って採集したいけれど、どうすればいいのか?

何を食するかわかっているので、彼らの好きなものをトラップとして仕掛ければいいというのはすぐに思いつくことであろう。 つまりウ○コを仕掛ければいいのである。

具体的には牛糞などを仕掛けたりするのがいいという話を聞いたこともあるし、実際にその方法で採集されている方もいらっしゃることだろう。 あと京都インセクトフェアに行った時、ミドリセンチをたくさんもっていた方から自分のアレがテキメンだという話も聞いたことがある。

簡単に牛糞とかって言うけれど、近くに牧場があれば何とかなるかもしれないが普通は入手も簡単ではないし、まして自分のアレをナニするなんて・・・ それは絶対に私には無理だ。

一度、犬のアレ(少量)でやってみたことがあり、その時2頭ほど飛んできたが、やっぱりアレを仕掛けるには抵抗があるし、アレをナニするって行為自体がどうも生理的にダメだった。

そういった採集方法以外、つまりアレをあつかわないでたくさん採集できる、もっとスマートでお手軽な方法がないものかといろいろと考え始めた。



ひらめく!

ない知恵を絞って考えてみた。 要するにアレに代わる何かがあれば・・・

まず最初に思いつき、試したのがホームセンターなどで売ってる牛糞。  しかしこれは牛糞といっても牛糞堆肥(微生物によって完全に分解した肥料)のことで、ニオイも殆どない土である。

あまりにもニオイがないので、これをトラップする前にレンジで蒸らしてみたりもしたが、結局ぜんぜん効果はなく成果もさっぱりだった。

やっぱりニオイがないと・・・ アレに似たニオイといえば・・・!?

まず最初に考えたのは、ブルーチーズ。 ただこれはいいアイデアだと考えたが実際に試すことはなかった。 ブルーチーズは確かにくさいのだが、これは食べた時にそう思うのであって発するニオイとしては少し弱いかなと・・・ それに案外高価だったりするし。

あとドリアンなんかも考えたが、これも結構高価だし、くさや(私はどんなニオイがするのか知らないのだが)とかはここ関西では入手するのが難しそうだし・・・

それよりもっと強烈にくさいニオイのするものはないかとネットでいろいろ調べてみた。

で、よさそうなアイテムを発見! これは強烈そう・・・

それを売っている店がたまたま京都市内にあったので出向き、そして購入してみた。

そいつがコレ。



臭豆腐

ネットでいろいろ調べてみると、そのニオイはかなり強力そうで、何よりアレにそっくりなニオイがするらしい・・・

でも、くさいとはいえ一応コレは食べ物だし、アレを仕掛けることを思えばぜんぜん大丈夫なはず・・・  それに思ったより安価なのも嬉しい。

あと密封されており、持ち運ぶのに便利かとも思う。

ただ購入した時点ではニオイはわからなかったが、若干ニオイが漏れてそうな気もしたので、ジッ○ロックで二重、三重にして入れておいた。

さあ、あとは実践。 とにかく一度試してみよう。



実践

前からオオセンチコガネは採集していたが、それは林床を偶然歩いているものを見つけたとか、飛んでいるものを叩き落としたとか、野生動物のアレの近くに来てたとか、いわば偶発的な採集でしかなかった。

けど、もしこれがうまくいくとまさに狙って採集できるわけである。

とにかく臭豆腐はニオイがかなり強烈らしいので、人里から離れた山深いところで試してみることにした。

合計4ヶ所に仕掛けをしたのだが、最初のポイントで初めてそれを開封した時、その強烈なニオイで山の中でたった一人だったが思いっきり仰け反ってしまった。

やはり評判通り強烈なニオイで本当にアレのニオイまんまだった。

もしかして、コレならアレを仕掛けているのとあまり変わらないのではないかという考えもよぎったが、「いやいやこれは食べ物なんだよ」と自分で自分に言い聞かせながら、せっせと仕掛けをしたのである。

あ、もちろんマスク着用で・・・

そして仕掛けて1分も経たないうちに早くもギンバエが数匹集まってきた。

これは期待がもてそう・・・



上記4枚の写真の中央の白いものが臭豆腐


仕掛け方としては、前に購入した牛糞堆肥もまだたくさんあったので、これも利用した。

オオセンチコガネなどの糞虫は、アレやアレの下の土に潜行する習性がある。

上記写真のように牛糞堆肥を臭豆腐の下に敷いておくことで、ニオイに惹かれてやってきた糞虫がそこに潜り留まることを狙っていた。

そして、これは後に功を奏することとなったのだ。


ビミョーだが・・・

時間を少しおいて、仕掛けした4ヶ所をみてまわったが、結果はビミョーだった。

センチコガネ、ハネカクシ、シデムシなどいろいろな虫は来ていたが、狙っていたオオセンチコガネが思ったよりも少なかった。


仕掛けてすぐにギンバエの姿が・・・

ハネカクシも数種類やってきた


センチコガネはポツリポツリと・・・

カドマルエンマコガネも・・・


けど狙ったとおり、糞虫たちが牛糞堆肥に潜行してるのは爽快だった。

それに仕掛けて短時間のわりにはセンチコガネも数匹来ているし、オオセンチコガネもいないわけではない。

ビミョーではあるが、いいように考えれば狙って採集できたという意味では一応成功と言ってもいいのかなと思う。

それに収穫もあった。 何とオナガアゲハやクロアゲハ、それにニホンミツバチなどもこれに惹かれてやってきていたのである。 これには少々驚かされた。



牛糞堆肥に潜行するオオセンチコガネ

ニホンミツバチもやってきた


オナガアゲハがきた!

クロアゲハもきた!


狙いはミドリセンチ

じつはこの方法が成功すれば、採集したかったのがミドリセンチであった。

私はオオセンチコガネの中でもミドリセンチが一番好きであるが、今まで偶然に見かけるものを採集するだけだったので、ぜひ狙って採集したいと思っているのである。

とりあえずビミョーではあるが一応の成功を受けてミドリセンチが生息する山で、この採集法を用いてチャレンジしてみた。

とりあえずは2ヶ所ほど仕掛けをして、その一方で待つことに・・・

そして待つこと数分、メタリックな緑色のヤツがさっそく飛んできた。

この時点でかなり嬉しいのであるが、今回は気を落ち着けてその様子をじっくり観察してみようと思った。




腰を据えて眺めているとトラップの近くを数回旋回して少し離れた地点に着地し、そしてそこから一目散にトラップのほうへと歩みよる。

そんな様子をじっくり観察できたし、写真もたくさん撮れたのだが、如何せん少し暗い場所だったので殆どがピンボケ写真だった。



それでも少しは満足のいく写真も撮れたし、次から次へと飛来する彼らの姿を観察することもできたし、採集もタコ採れ状態で結構楽しめたのである。

そんな状態なので余裕も生まれ、他の虫などにも目を向けることができた。


ここでも仕掛けてすぐにギンバエがやってきた

アリも好物? 臭豆腐をくわえて運んで行った


ウラギンシジミもやってきた

ここでもニホンミツバチがやってきた


そうやって飽きない時間をそこで過ごし、気が付けば3時間が過ぎていた。

もう1ヶ所仕掛けたポイントにもたくさんのミドリセンチはきていた。

しかし最初のポイントで長居したため、すっかり遅い時間となってしまったので、目につくミドリセンチをそそくさと拾い集めて本日の採集を終えた。

ということで、この日は最終的には私が思っていた以上にたくさんのミドリセンチが採集できたのである。


2箇所でトラップを仕掛け、最初のポイントがA、もうひとつのポイントがBとすると、

  Aポイント ・・・ 32頭   Bポイント ・・・ 11頭

の計43頭も採れた。 狙ってこれだけ採れたなら、これはもう大成功と言ってもいいだろう。

おそるべし 臭豆腐 である。




驚愕の採集結果

ミドリセンチ採集大成功から一夜明け、この日は年に一度の京都インセクトフェアであった。

この催し物に参加したいが、昨日のポイントの様子も気になるので、朝早く少しの間だけでもと再び見に行くことにした。

あわよくば、もう少し飛来してくるものを追加で拾えたらと思いつつ・・・

現地には8時過ぎに到着。

トラップを設置したA、Bポイントのうち、まずBポイントを見てみると想像していたより多くのミドリセンチがいた。

さっと拾い集めたものだけで、既に昨日ここで採った数を上回っている。

この調子だとAポイントはいったい・・・



やっぱりすごいことになっていた!

ゾロゾロ・・・ ここでも拾い集めたもので昨日の数を余裕で上回ってそうだ。

そして拾っている最中も次から次へと飛来する。 凄いのを通り越して、もう怖いくらいだった。

もうきりがないので、Aポイントでの採集を切り上げ、帰りに通るBポイントをちょっと見てみると、これまた居るわ居るわ・・・

結局この日、短時間の採集だったが、Aポイントで128頭、Bポイントで50頭、計178頭という爆採れとなった。




左:Aポイントにて採集 128頭     右:Bポイントにて採集 50頭

サラっとチェックしに行っただけだったのに この結果!

まさにおそるべし!! 臭豆腐!!



次にノーマルタイプ

ミドリセンチ採集から1週間後、今度は京都市北部の山でノーマルなタイプのオオセンチを狙って臭豆腐トラップを仕掛けてみた。

ここでも仕掛けてすぐにギンバエが集まり、ほどなく赤いメタリックなヤツが飛来。



ミドリセンチの爆採れほどではないが、ここでもノーマルなタイプのオオセンチを数頭採集することができた。

そしてここでも翌日にチェックしに行ったが夜に少し降った雨のせいかオオセンチは思ったほどいなかったが、ゴホンダイコクが採れたのでちょっとラッキー気分になった。

ここでも臭豆腐を用いた採集は大成功だ。


ミドリセンチほどではないがじゅうぶんな採集数だった

ゴホンダイコクも採れた



さいごに

臭豆腐を使ったオオセンチ採集法は大成功といってもいいかと思う。

アレをナニすればもっと簡単に採集できるのかもしれないが・・・

今回これを仕掛けて一番興味深かったのは、オナガアゲハやクロアゲハがやってきたことだ。

アゲハがやってくるなら獣糞に集まるあんなタテハチョウやこんなタテハチョウなどもじゅうぶんに狙えるだろう。

それにこれを利用してベイトトラップなどをすれば、オサムシとかも狙えるんではないか!?

この臭豆腐を用いた採集法、けっこう応用が利きそうだと思った。


尚、この記事を書いているのは2012年2月末で、この採集法を実施したのはは2007年8月中旬~9月上旬だった。  あまりにも採れすぎるので公開するのはやめておこうかと迷って4年半、やっぱり公開することにした。

オオセンチコガネ採集に興味があるけどなかなか採れないという方のために、少しでもこの記事がヒントになれば幸いである。


じつは私自身、この時以来この採集法はやってない。

オオセンチもこの時にじゅうぶん過ぎるほど たくさん採れたというのと、臭豆腐を売っていた店が規模縮小されて、現在では販売されておらず入手しにくいという理由とかあるのだが・・・

しかし機会があれば、これを使っていろいろと応用的な採集を試してみたいと思っている。  いざとなればネットで購入できるだろうし・・・  ただ最近は採集欲が薄れてきてるんでねぇ・・・

けど観察するためや写真撮影をするために虫をおびき寄せたいという観点からみれば、これは使えるかなと思うのでまた是非とも試してみたいと思っている。


あと気を付けてほしいことといえば、この臭豆腐、かなりくさいので民家の近くや人の多く集まるような場所での使用は、大変迷惑になるので避けてもらいたいということだ。

それさえ気を付ければ、この採集法での仕掛けはニオイはくさいが、時間が経てばすべて土に帰るものなので、自然にやさしい仕掛けと言えるのではないか。

ただ、食べ物とはいえ ニオイはハンパなく くさい! ので ご注意を・・・

私は決して食べることはできないだろう・・・


番外 ~ミドリセンチの色彩変異~

臭豆腐を用いた採集法でトータル178頭と爆採れしたミドリセンチだが、これだけたくさんの数を採ったからこそ、あらためてわかったことがあった。

それはそれぞれに微妙な色彩変化があるということだ。

同じミドリでも色の濃いもの、金属光沢の強いもの、鈍い色のものもいるし、ノーマルなオオセンチに近い赤っぽい色をしたものもいる。



金属光沢が強く綺麗な緑色をしている個体

金属光沢が鈍く、ツヤ消し気味の個体


金属光沢が強く少しだけ赤っぽさを持つ個体

少しだけ赤っぽさを持つが金属光沢が鈍い個体

このように細かく言えばそれぞれに微妙な色彩変化があり興味深いのだが、驚いたのは、178頭のうち2頭だけ奈良で採ったルリセンチとそう変わらない色の個体がいたのである。


瑠璃色をしたミドリセンチ   2頭/178頭というレア度

こちらも若干青っぽい個体のミドリセンチ


上の右の写真の個体も通常のミドリセンチよりはブルーというかパープルというかそういう色がのっているのだが、 それと比べてみても左の個体は、ほぼ瑠璃色といえるであろう。

以前、奈良でルリセンチを採った時にも、緑っぽい固体がいたが、こうやって見るとなかなか興味深く面白いものだと思う。

そしてさらに興味深かったのは、少し鈍い色をしていたが、ノーマルな赤色のオオセンチのような個体がいたのである。  こちらは、1頭/178頭というレア度であった。


少し鈍いがノーマルタイプっぽい個体

裏も赤っぽい色をしている


この山で採れるのは殆ど緑色のオオセンチコガネだが、中にはこういうようなレアな個体もいるので、まさに宝探し的な感覚で採集するのがまた楽しくなるのである。

ここではミドリセンチを中心に取り上げたが、奈良などに生息するルリセンチもそれはそれは綺麗であるし、甲乙つけがたい存在で、その美しさはまさに宝石の輝きである。

ただ・・・ そんな美しい姿は好きだけど、やっぱりアレに集まるので敬遠される方もいるかもしれない。

そんな時こんな採集法を試してみるのも如何かな?


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